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左ボタン 右ボタン アストラル・ウィークスという、1968。
「1968」という名前のパーティを始めてからというもの、1968年録音の音が気になる。

1968年に絞って音楽を聴いているわけではまったくないのだけど、今まで聴いてきたもの、今気になるもの、たまたま手に取ったものが1968年録音だったり、リリースだったりする場合が妙に多いのだ。

そらもう、サイケデリック・ロック花盛り!最高潮!実験魂てんこもり!な音楽が、山のように作られた時代だったわけで。そういう時代の空気感や共通の意識がジャンルを超えて感じられる音が多いわけなのだな。

が、今日たまたまに入手した、このアルバムはちょっと違う。
ヴァン・モリソンの『アストラル・ウィークス』。1968年録音。

なんていうかな、サウンドがいわゆる1968年っぽくないんだな。とても、澄んだ音をしている。先鋭的に先走ったところがなくて、落ち着いている。むしろサイケ時代を通り過ぎて、またルーツ帰り指向になった、アメリカン・サウンドに近い印象。洗練されているとも言えるし、老成しちゃった感もある(とかいって、この時ヴァン・モリソン自身はまだ23歳だったそうですが)。

箱蛙にとってヴァン・モリソンといえばゼムで、「グローリア」で「ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー」。なんと言ってもヴァン・モリソンの歌声の濃厚さ、ある種鬼気迫る密度の高さにやられてしまう。ちょっと前にビートルズやキンクス、その他あまたの当時のポップ・バンドと一緒にゼムが出ている60年代エゲレス産の映像を見たのだけど、ゼムは明らかに浮いていた。まったく商業的な軽さがなくて、その他のバンドたちとは一線を画していて、“ポップス”という感覚とは無縁な佇まいだった。切実であり、痛烈。

人を惹きつける魅力にもいろいろあるけれど、ヴァン・モリソンのように若いときから“重さ”をその音に深く持つアーティストってのは、やはり稀少だなぁ。若気の至りとか、才気走ったとこがないんだな。

『アストラル・ウィークス』を聴いていて、なんだかすごく不思議な感覚になって解説(出ました、ピーター・バラカン)を見たらば、当時の感覚から言っても「変なレコード」だったという。「ロックとはかけ離れた」なんて表現もしている。

私のような後聴きで60年代の音楽を聴いている輩も、リアルタイムで体験してまた聴き返しているバラカン氏も、このアルバムを聴くと「不思議」という感覚を持つというのが、面白いなぁ。そんなところで、普遍という言葉にも行き着いてしまったりする。

そう。ヴァン・モリソンを語るとき、普遍的という表現を見かけることは多いね。それはこの人の声が湛えている“何か”に寄るところが大きいと思う。ディランのように常に変化を求める人もいれば、常に根源的な追求を続ける人もいる。しかしまた、そのどちらにも一貫した普遍性は存在する。

だから、ついつい私も、上手な表現はできないことがわかっていても、こんな文章を書かされてしまうのだった。つかみどころがないところ、説明しがたいものこそ、強い引力を持つのかもしれない。なんてね。

今、何度目かの聴き返しをしているところだけど、変で不思議なこのアルバムは聴き応え十分。ガツンとくるのではなく、沁みてくる。うーん、独特な名盤と言えましょう。

出逢えて、よかった一枚。

アストラル・ウィークス
アストラル・ウィークス
ヴァン・モリソン
| Music Takes Me!! | comments(2) | trackbacks(0) |
俺も好きなアルバム。
アイリッシュだから1968年でもアメリカやイギリスとは一味違うのかな。

私が最初に聞いたヴァンのソロは『セント・ドミニクの預言』つーのでこれはいわゆるブルー・アイド・ソウルなんだけど、ジャッキー・ウイルソン・セッズが好きでよく聞いてた。デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズの1stみたいなアルバム。なんかの映画に使われてて知った。
で遡って聞いたのがアストラル〜。この頃のは他にも『チュペロ・ハニー』や『ムーンダンス』も良いよ。

この頃はやっぱ面白い時代だよね。ほとんどの音楽にストレンジな要素があるもんね。
| kfsm | 2008/09/17 1:32 PM |
うひぃ、今頃のレスポンスですみません。

私がソロで唯一聴いていたのが『ムーンダンス』。あれも名盤だよね。声の深みと、じっくりなタイム感がたまりませんわ。

やっぱりストレンジな要素ってのが、勘所なんだな。
そこんとこは、時代を超えてピンとくるポイントかも。

最近、80年代のストレンジなヤツにもまたシビレていたりします〜。むふふ。
| 箱蛙 | 2008/09/26 12:19 AM |









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